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Special Interview 志村剛生×バーミキュラ キッチンナイフ

野菜の香りや味を、活かしてくれるキッチンナイフ

静岡の豊富な海の幸、山の幸の魅力を極限まで引き出した天ぷらで、訪れる人々を虜にしてやまないのが「成生」です。「天ぷらは、素材が持つ甘み、香りを引き出すのが得意な調理法」と語る、店主の志村氏は、素材に触れる道具はすべてガラス製かホーロー製で揃える徹底ぶり。揚げたてにかぶりついたときに広がる、得も言われぬ甘み、香りの体験は、志村氏の並々ならぬ技術とこだわりから生まれています。実は、バーミキュラが包丁開発に着手したきっかけは、鋳物ホーロー製のバーミキュラ製品を長く愛用いただいている志村氏のある言葉から。完成した新製品 バーミキュラ キッチンナイフを使用していただき、「いい道具で調理しなければ、この甘さは出せません」と最高のほめ言葉をいただきました。

食材への刃の入り方と切れ味が
素晴らしいですね

食材への刃の入り方が、非常にいいですね。切れ味も素晴らしいです。

 

一般的には、ステンレス製の包丁を使用されている方が多いと思いますが、ステンレスは香りや味を奪ってしまう材質。なので、包丁が食材に触れる中で、知らないうちに香りや味わいが吸着されてしまっています。

 

このバーミキュラ キッチンナイフで魚や野菜を切ってみましたが、そういったことは全くありませんでした。

野菜の香りや味を
活かしてくれる包丁

断面をみても、繊維が壊れている様子、潰れた様子もまったくないですね。

何よりも、切れ味が長持ちし、錆びない点もとてもいい。日々の手入れも手軽で、研ぎやすいのではないかとも思います。

 

野菜の香りや味を活かしてくれる包丁だと感じました。

みずみずしさを保ちつつ
食材の持ち味を活かして切れる

みずみずしさもしっかり残り、素材本来の味がしっかり前に出ている。

調味料に頼らず、食材の味で調理しやすい状態になっている印象です。

 

食材の持つ味わいがストレートに出るのは、素材のいいところを阻害してしまったり、香りを取ってしまうことがないという証拠です。素晴らしいなと感じました。

道具選びのポイントは
食材のよさを損なわないこと

玉ねぎとアスパラに細かい切れ目を入れているのは、天ぷらでお出ししたときに、かぶりついてもらいたいから。

この切れ目は、お客さんが噛み切るのを助けるためですね。

 

天ぷらは、かぶりついて食べるのが美味しい料理。その方が、食材の旨みをダイレクトに味わえるんですよ。

噛んだ瞬間に、口の中に香りが広がって、野菜の水分もあふれ出ます。

新鮮な野菜の調理に
このキッチンナイフはうってつけ

新鮮な野菜であるほど、水分を多く含んでいます。

切れない包丁で調理すると、断面が潰れてしまって、水分がどんどん外へ出ていってしまう。

このキッチンナイフは、そういったことが全くありません。サラダを作っても、良さは感じられそうです。

 

切れ味がとてもいいので、野菜の辛みも出にくくなるのではないでしょうか。

生のねぎを切って、味噌汁にさっと入れるだけでも、香りと味わいは違うはず。

このキッチンナイフで切ると、食材の持つきれいでクリアな味わいを感じやすくなると思います。

バーミキュラを知ったきっかけは
道具の材質を見直したことから

以前、私がお話しさせていただいたことが、このキッチンナイフの開発のきっかけとなったと聞き驚きました。

 

バーミキュラとの出会いは、7~8年ほど前。食材に触れる調理道具をすべてガラス製か、ホーロー製に入れ替えようと考え、鋳物ホーロー製のバーミキュラ鍋に行きつきました。

 

包丁については、もともと鋼の包丁を使っていたのですが、材質が非常に硬く、研ぐ際に思い通りの角度に持って行くことが難しいのが悩みでした。現在は、鋼と鉄を結合させてつくる、霞包丁という和包丁を使っています。鋼よりは柔らかいため、研ぎやすくはなりましたが、手入れは鋼の包丁と変わりません。

 

ひとつ切るたびに、濡れた布で拭き、乾いた布で拭く。さらに、昼、夜の営業後は研磨剤を使って磨きます。

切れ味はいいですが、その分こういった手入れを日々続けていかないとすぐに錆びてしまいます。

 

調理道具を見直していく中で、包丁については、切れ味、素材の味を損なわない、研ぎやすさ、手入れのしやすさにおいて、ベストな材質を探してきました。その中で、バーミキュラの鍋を見に行かせていただいた際に、食材のよさを活かし、切れ味もよく、手入れがしやすい包丁があるといい、という話をさせていただいたんです。

 

断面がきれいに切れた野菜の
揚がった後の口当たりは別格

包丁の切れ味によって、野菜の断面の仕上がりは左右されます。

断面がきれいに切れたものと、そうでないものでは、揚がったあとのみずみずしさがまったく違います。いい状態で切られているものは、それだけで保水力がありますから。潰れていたら、揚げている間にもどんどん水分が出ていきます。

 

揚げたあとに、じわっと水分が浮いてくるようだと、中で分離してしまっているんです。

この玉ねぎの天ぷらを見ても分かるように、そういったことは全くないですね。

 

天ぷらの調理において、食材をカットすることは非常に重要な工程。

特に大事にしているところです。

口に入れたときの香り、甘み、余韻
良いところ尽くしです

アスパラにも、玉ねぎにも、あれだけ細かく刃を入れましたが、切れない包丁や、食材の匂いを奪ってしまう材質の包丁で調理していたら、かぶりついたときにこの甘さは出ません。

 

口に運ぶと、香りがあって、甘くて、余韻も長い。

香りに加えて水分も溢れてきます。シャキシャキ感もあるうえに、しっかり加熱されているので、柔らかい。

良いところ尽くしです。

もともと天ぷらは、素材が持つ甘み、香りを引き出すのが得意な調理法。

切る段階で、食材に金気(※1)が入っていたり、表面がつぶれてしまっていたら、本来の甘さを感じづらくなってしまいます。

 

だからこそ、包丁の切れ味には着目したい。

普段は裏すき(※2)の片刃(※3)を使うので、両刃だとどうだろう、と思っていましたが、このキッチンナイフは刃が薄く、適度なしなりもあり、すんなり刃が入りました。

 

(※1)金気について

鉄の独特な金属臭。

 

(※2) 裏すきについて

和包丁の片刃特有の仕様。和包丁の裏面は、完全に平らではなく、中央がわずかにへこんでいます。食材と触れる面が少なくなることで、切れ味がよく、また、食材が包丁に張り付きにくくなることで、切った食材の刃離れがよいなどの効果があります。

 

(※3) 両刃と片刃について

両刃は、左右両面に刃が付いていて、食材をまっすぐ切るのに適しています。扱いやすく、一般的な家庭用三徳包丁の仕様は両刃です。一方、片刃は片面にのみ刃が付いていて、魚を捌く、刺身を切る、飾りを入れるなど繊細な調理に適し、和包丁に多い仕様です。バーミキュラ キッチンナイフは三徳包丁で両刃。

いい道具を使えば調理は楽しく
思い通りの仕上がりに

お店では、片刃の和包丁と、両刃の牛刀を使い分けています。

 

刺身や野菜を切るときに使用しているのは、和包丁。牛刀は、固いものを切るときに使います。

例えば、かぼちゃをざくっと切るときは、和包丁ではうまくいきません。

 

片刃と両刃では、切るときに意識する部分が変わります。

片刃は引いて切るのに対して、両刃は落として切るイメージですね。

このキッチンナイフは重心が手元にあるので、まっすぐ刃を入れやすい。

家庭用として、とても使い勝手がいいと思います。

 

いい調理道具で調理すると、思い通りの仕上がりに持っていけるので、楽しいですね。

 

片刃で、長さがあり、重心がもうすこし前にあると、食材を引いて切るときに動かしやすく、ミリ単位の細かい仕事ができるようになる。片刃であって、さらに研ぎやすい、錆びない、食材への影響が少ないとなると、料理人の立場から見てもとても魅力に感じます。

 

ぜひお店で使いたいですね。

成生

志村剛生

Takeo Shimura

「成生」を営む天ぷら職人。オーストラリアへ留学中に料理人を志し、調理師免許獲得のため一時帰国。静岡県焼津市の割烹料理店で修業する中で、天ぷらの面白さに開眼する。天ぷら職人として静岡に身を置くことを決意し、2007年、静岡市に「てんぷら 成生」を開店。2021年、同市内に移転。

 

撮影/伊藤優太

文/加藤久美子

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